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岩波書店の『世界』2007年5月号に、佐藤優が「山川均の平和憲法擁護戦略」という論文を寄稿している。 その中で佐藤氏は、自分自身を「現行憲法の条項には一切、改変を加えてはならないと考えるかなり硬直した護憲の立場に立つ。」と称している。 一方…
○19世紀中盤の日本の針路 19世紀の中頃、日本には4つの選択肢があった。 1つ目は、徳川体制の下での反近代化路線。 2つ目は、徳川体制の下での近代化路線。 3つ目は、反徳川勢力の下での近代化路線。 4つ目は、反徳川勢力の下での反近代化路線。 も…
建国の日、あるいは建国記念の日を制定するとしたら、それはどのような日にすべきかについては、3つの立場が考えられる。 1つ目は、天皇(朝廷)によって最初の統一国家が建設された日を建国(記念)の日とすべきという考え方。紀元節を復活させようとする…
アメリカのオバマ大統領は就任時だったか、「アメリカは一つ」と発言したが、私は日本は一つである必要はないと思う。 リベラル・デモクラシーの価値観に基づいた憲法が尊重されるのならば、日本が一つであっていい。 だが、これから10年、20年後には教…
最近では(マスメディア上では)憲法96条問題は論じられなくなったが、数年前、この問題が論じられていた頃、1つだけ疑問に思ったことがあった。 改正派は、「国会議員の過半数の賛成で改正が発議できるようにしよう」と主張していたが、なぜ「国会議員の…
憲法改正に関する国民投票法案をめぐる議論は、日本が民主主義国家として未成熟であることを露呈させてうんざりするものだった。 憲法改正を実現したいという個人的な目標を達成させるために、法案の内容を少しでも憲法改正がしやすいものにしようとした現行…
60年安保闘争については、非民主主義的な政権を打倒した民衆の政治運動だとして、民主主義的な観点からこれを評価する声もある。 その評価の妥当性についてはここでは触れないが、闘争の本来の目的であった安全保障の問題に関していえば、あの運動は戦後日…
本文章は、三土修平氏の『靖国問題の原点』(日本評論社)に影響を受け、三土氏の問題提起を継承する形で執筆しています。 ○はじめに ― 戦死者の弔い方について 靖国神社の問題を議論するさいは、「戦死者に国家・政府がどのように対処すべきか」というより…
(2011年5月23日記述) 戦後の日本では、日の丸・君が代に愛着心をもってはいるが、戦後憲法は尊重する意志のない右派勢力。 日の丸・君が代を日本の国旗・国歌にすることには反対するが、戦後憲法には信仰心のようなものをもっている左派勢力(「悔…
*2010年、上海万博が開かれていたときに記述した文章です。 (2010年5月2日記述) 上海万博の日本館が日の丸掲揚を見送り、それに対しての批判・非難が2チャンネル周辺でおこっているみたいである。 まあ、戦後、憲法体制・政治体制が根本的に変…
国旗・国歌が必要か不要かについては以下のような立場があるだろう。 1 国旗・国歌を不要とする立場。 2 オリンピックなどの国際的なスポーツ大会での使用に備えとりあえず制定しておくが、国旗・国歌を政治的に利用することには反対する立場。 具体的には…
国旗と国歌の問題を議論する場合、以下の論点がある。 1 国旗・国歌は必要か。 2 国旗・国歌が必要である場合、日本に相応しい国旗・国歌はどのようなものか。(この論点は、日の丸・君が代を国旗・国歌にすることの妥当性の問題でもある。) 3 国旗の掲…
○国家観をめぐる対立 「二重憲法・二重国家体制としての戦後日本」の中で、戦後の日本には、憲法観・国家観について相容れない異なる考え方をもつ人たちが共存していると記述した。 一方は、明治憲法(大日本帝国憲法)のうち、自分たちが改正してもいいと考…
戦後の日本では、憲法観・国家観について相容れない異なる考え方をもつ人たちが共存している。 一方は、明治憲法(大日本帝国憲法)のうち、自分たちが改正してもいいと考えている条項のみを改正した憲法が、本来のあるべき日本の憲法であると考えていて、戦…
戦後の日本では、護憲(憲法9条擁護)か改憲(憲法9条改正)かをめぐって論争が繰り広げられてきたが、すべての国民がどちらかの陣営に属さねばならず、中立的立場、第三の立場に立つことができないのであれば、私は護憲派の側を選ぶ。 だが日本は、憲法9…
護憲派とは、憲法前文と9条に表明されている反戦平和主義の思想を肯定的に評価している人たちのことだろう。 が、反戦平和の思想をどのように考えるのかについては必ずしも意見の一致をみていないだろう。 他国から武力攻撃をうけた際、これに対して戦うこ…
戦後日本の軍事政策に関する考え方には、2つの種類の「理想主義と現実主義」の対立がある。 1つは、憲法9条を擁護しようとする「反戦平和主義」の理想主義と、これを改正して「普通の国」になろうとする現実主義の対立。 もう1つは、戦後の日本がアメリ…
1980年代までは、憲法9条を改正すべきと考えている人たちは少数派にすぎなかった。だが、90年代以降改正派の数は徐々に増えているだろう。 現時点で改正賛成派と反対派どちらが多いのか、正確な数はわからない。 もしかしたら半分半分といったところ…
憲法9条、自衛隊、日本の軍事政策(防衛政策、安全保障政策)に関する問題をめぐっては、改憲=9条改正か、護憲=9条維持かといった二項対立で議論がなされているケースがほとんどだろう。 改憲派は「はじめに改憲ありき」、護憲派は「はじめに護憲ありき…
「あなたは憲法9条改正に賛成ですか?」といった類の言説をマスメディアでよくみかけた。 だが、よく考えてみるとこういった問いかけはおかしなものだろう。 日本の軍事政策(防衛・安全保障政策)についてなんらかの見解をもっていて、その人なりの改正案…
日本の近現代史の(ジャーナリズム的な)時代区分には「戦前・戦後」という区分と「戦前・戦中・戦後」という区分があるが。 前者の場合、1945年を境にそれ以前を戦前、それ以後を戦後と呼んでいるが、戦前と戦後の区切りを1945年のどの時点に設定し…
ステレオタイプの右派は「太平洋戦争」を肯定・擁護し、「戦後民主主義」を否定・批判する。 一方、ステレオタイプの左派は「太平洋戦争」を否定・批判し、「戦後民主主義」を肯定・擁護する。 戦後の憲法、政治体制は占領軍の力があったからこそ実現できた…
大東亜戦争がアジア解放のための戦争だというのは、戦争を正当化するためのただの口実に過ぎないが、仮に戦争の目的が「欧米諸国に植民地支配されているインドや東南アジアの国を、その植民地支配から解放すること」であったとしても、この戦争を肯定してい…
太平洋戦争あるいは大東亜戦争という名で呼ばれている戦争。 日本の戦争指導者たちが、欧米諸国に植民地支配されているアジアの人々を、その支配から解放することを一番の目的として戦争を行ったのであれば、私はその戦争を肯定はしないけれども否定もしない…
日本が1930年代から40年代にかけて行った戦争に対しては、それが自衛戦争だったのか侵略戦争だったのかをめぐって論争が繰り広げられてきた。 だが、自衛戦争と侵略戦争をどのように定義するかについて共通した理解がないため、両者の議論がかみあわな…
<日清戦争・日露戦争>を肯定的に評価するか否定的に評価するか、<日中戦争・太平洋戦争>を肯定的に評価するか否定的に評価するか、<戦後の日本>を肯定的に評価するか否定的に評価するか、以上の3点を軸にして、戦後の日本では大きく分けて4つの歴史観がみ…
現在先進国といわれている国々が過去に行った侵略や植民地支配、これらをどのように評価するかをめぐっては大きくわけて3つの歴史観がある。 1つ目は、第二次世界大戦の戦勝国が行った侵略や植民地支配は是認、黙認したまま、敗戦国の行った侵略や植民地支…
図書館で西部邁の本を立ち読みしていたら、保守主義とは穏健的改良主義、漸進主義のことをいうと記述してあった。 保守とは、改革や改良に反対する伝統主義者、守旧派を意味すると思い込んでいたので、穏健な形ではあれ社会の改良に賛成する立場を保守主義と…
民主主義に関しては、民主主義的な法や制度を整備すればそれでよいと考えている人と、それだけでは不充分で、政治の実態が民主主義的な理念に基づいたものにならなければいけないと考えている人がいる。 前者を「形式民主主義者」、後者を「実態民主主義者」…